ソロプレイ一筋ゲーマーの、シミュレーションゲームブログ


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2009年 03月 20日 ( 1 )

他所のブログ等で、ゲームルール記述の難しさに言及した記事を良く見かける。

確かに、質の高いゲームルールを執筆するのは難しい事だと思う。

しかし実際にルールブックを記述している人たちは、品質を向上させる方法を工学的に検討した事があるだろうか?

過去に見かけたアプローチは、せいぜい「文書の専門家を雇う」「素人に読ませて疑問点を指摘させる」、酷い場合だと「良いものになるよう努力する」だったりする。
「人が手で書いている以上、抜けや間違いは仕方が無い」という理由で、最初から品質向上を不可能と決め込んでいないだろうか。


ルールブックの執筆は、ソフトウェアの開発に似ていると思う。
ソフトウェアも、プログラムコードの記述は大抵人力だ。だが「人が手で書いている以上、抜けや間違いは仕方が無い」などと言っていては、売り物となるソフトウェアは作れない。ソフト業界では、一定の品質を保つための工学的技法が存在するのだ。それは工程管理と数値的アプローチに代表される。


ルールブックの記述作業を、ソフトウェア開発と同様に考えるならば、以下のような取り組みも可能ではないだろうか。


1.ルール執筆の工程の定義

ルールを突然1ページ目から書き始めるのではなく、きちんとした段取りを踏んで作業を進めていく。そしてその手順を標準化する。
例えばルールの章立てと、各章の役割分担を明確に決めてから、各章/項目の記述に入る等である。

2.ルールのユニット化

ルールはなるべく、各章/項目の独立性が高くなるように記述し、特に1項目内に複数の概念が同居しないようにする。独立性が高いほど、以下の3、4のアプローチが有効になる。

3.段階を分けての記述チェック

前記のようにルールをユニット化し、項目毎にバグ取り(矛盾や記入漏れが無いか確認)を行う。項目単位のバグ取りが終わったら、章単位に組み合わせてバグ取りをする。章単位での確認が終わったら、最終的にルール全体での整合性を確認する。更にその後に運用試験(プレイテスターに渡してテストしてもらう)という段取りとなる。

4.ルールのライブラリ化

バグ取りが完了したルールは積極的に再利用する。例えばZOCの定義等の、ゲーム間で共通性の高い項目は、毎回ゼロから執筆するような無駄な事はしない。項目を使いまわし続けていくことで、項目の品質度合いも向上していく事が期待される。そしてライブラリが充実すればする程、ゼロから執筆するルール量が減る、すなわち混入するバグ数も減るのである。

5.バグ管理、数値化

項目単位の確認でも章単位の確認でも、発見されたバグは記録しておく(少なくともバグ数は数えておく)。長い目で見れば、執筆者のスキル、ゲームの難易度、文書量などと、発見バグ数の間に相関性が表れると思う。そこで数値が抽出できれば、次回のルール執筆時に、品質判定の指標値として使えるようになる。
例えば戦闘の章では平均5件の記入漏れが発生するという指標値があるなら、次回のルール執筆時も、記入漏れを5件発見するつもりでチェックを行う。ここでもし記入漏れが1件も発見されない場合、ルールが完璧であるか、見落としがあるかのどちらかと言うと、後者である可能性が高いだろう。


かのSPI社のルールブックでは、2、3、4は実践されていたと思う。SPIの「ケースシステム」は、読者が読みやすくするための工夫というより、品質管理のアプローチだと考えられる。
5.に関しては、ソフト業界では普通に行われていることと思うが、ゲームルール執筆での導入例は無いのではないだろうか。


もちろん、上記1~5はあくまで例である。要点は、ルール執筆という仕事に対して、もっと工学的なアプローチを行うべきという事だ。
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by CombatResultTable | 2009-03-20 00:32 | ウォーゲーム